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平成最後の夏、焼き漆

金木犀が香る季節になりました

今日も日中は、さわやかな秋空でした

 

それにしてもことしの夏は、

本当に暑かったですね

 

東北の中では比較的、

夏涼しい仙台ですが

今年の私の工房も

日中は30度超、

湿度計が90%とか、

見たことない数字を叩き出し。
 

なので仕事場に、ほとんどいませんでした

(言い訳。。)

暑さのほかに、もう一つ理由が。

  

ご存知のように

漆は高温・多湿であるほど早く乾きます

(知らないか。)

  

復習。

漆の主成分であるウルシオールが

空気中の水分に含まれる酸素と結びつくことで

漆が硬化する(乾く)のですね  

 

例年であれば漆がよく乾いて

仕事がはかどるシーズンですが、

今夏は早すぎる

   

 

塗膜の表面と中の乾くスピードが違うために起きる「縮み」。

  

塗った漆が、かなりの確率で

「縮んで」しまい、

仕事が進まないどころか、

やり直しという羽目に。。

 

まあそれは、私の未熟さゆえでありますが。

  

フェイスブックでそれを嘆いていましたら、

山形県真室川で漆掻きと塗師をされている

佐藤学さん

「焼き漆」のことを教えてくださいました

   

漆を加熱すると、

主成分ウルシオールが壊れ

硬化しなくなる=乾かなくなる

のだそうです。

  

さっそく、教わったことを実践。

  

お玉に黒呂漆(くろろうるし)を入れて火であぶり、

沸騰して泡立ち始める程度まで加熱します

 

 

こうして作った焼き漆と、

焼かない漆を並べてテスト塗り(「つけ」)

をしてみました

 

1)焼き漆のみ

2)焼き漆と焼かない漆  1;1ブレンド

3)焼かない漆のみ

 

の、3種類を紙に少量塗り、24時間おきました。

(室温23度、湿度63%)

 

3)は、みごとに縮み、

2)はきれいに乾き

1)は全く乾いていません。

(数日後に1も乾きました)

  

すごい。ぞ。

目から鱗!

  

学さん、ありがとう!!

   

 

てか、こんな風にブログに書くなら

もっと美しい字できちんと記録を

とればよかった。。

 

 

 

・・・ということは、

乾きが速いと黒っぽくなってしまう色漆も

きれいに乾くかも、、

   

そう思って「焼き白漆」を作り、

朱と混ぜてピンク漆の「つけ」にトライ。

 

ラップに包んであるのが塗ったときの漆の色。
左上のラップは焼き漆なしのピンク(上段の3色)

右下のラップは焼き漆と混ぜたピンク(下段の5色)

 

後日、湿度の低い別の日にテストし直したのが

下段右端のピンク

さすがの「焼きピンク」も、

湿度90%の夜には

「茶???」な色しか作れず。

  

 

 

朱はエンジに、

黄色は黄土色に、

青は限りなく黒に近いプルーに、、、

 

 

色は、あきらめました。

 

 

 

そんなわけで、

平成最後の夏は

漆をほとんど触らず、

パソコンで広報活動したり、

紙ものを作ったり、

そんなことばかり、してましたねえ。。