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思いを繕う

 

 

仙台は今日も気持ちよく晴れています

私はこの季節が一年で一番好きです

 

桜が終わっていよいよ新緑が

鮮やかに芽吹いてきますね

 

私は山形県の酒田という町の出身です

日本海に面し、江戸時代は

北前船の寄港地として

栄えた商業の町です

 

5月には酒田祭りが開催され

酒田港を見下ろす日和山から

街の中心部、中町まで露店が並びます

 

爽やかな風の中を

祭囃子が流れ

 

親戚が集まって

お祭りでしか食べないご馳走をいただいたり

 

もらったお小遣いでいとこたちと

お化け屋敷を見に行ったり

本当に楽しい季節でした

 

今年はそのお祭りも、

規模が縮小されるようですね

 

お祭りの季節には

もう一つ、思い出すことがあります

 

それは

もうすぐ7回忌になる母のことです

 

生まれてから亡くなるまで

一度も酒田を離れたことがなく

大好きだったお祭りが

始まるのを待っていたかのように

遠くからお囃子が聞こえる中

旅立っていきました

 

私は高校を出てから

けっきょく故郷には戻らず

自分が望む仕事をして

自分のことだけを考えて

ずっと生きてきました

 

それができたのは

両親が経済的にも精神的にも

子供に心配をかけないよう

自立してくれていたからなんですね

 

お金はないけど自分一人で生きてる!と

若い頃は思っていましたけど

そうさせてもらえていたことの有り難さが

今になって分かります

 

「子供はいくつになっても子供だよ」

と母は生前よく言っていました

その言葉に反発を覚えた時期もありました

 

でも、それが不器用な母なりの

愛情表現だったんだと思います

 

 

お直しで、お預かりした五月人形

 

お子さんは「もう大きくなったけど、、」と

おっしゃりながら、

お客さまが私に託してくださいました

 

お直しをしていて

自然に母の言葉が思い出されました

 

世の中がすっかり変わってしまったようになっても

ツバメたちは今年もやってきます

 

例年の行事や季節の移り変わりを楽しむことは

今は難しいけれど

それでも無事でいられる今日に感謝をして

過ごしたいと思います

 


〜思いを繕う〜

あとりえ青輝鳥でした